《十二か月推事記》

フジコです。推しのことについて。

日本の素朴絵-ゆるい、かわいい、たのしい美術-

フジコです。家の湿度が90%に達し、湿度計の警報音が鳴りました。

 

梅雨明けの気配が無いまま、本日はこちら↓

 

東京・日本橋  三井記念美術館

「日本の素朴絵-ゆるい、かわいい、たのしい美術-」

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日本にすっかり定着した「ゆるキャラ」という言葉。どこかとぼけたような、他の言葉で言い表しようの無い可愛さを持ったキャラクター達ですが、そんなゆるゆる具合を愛する心は遥か昔から存在していた。

 

今回は日本人が愛してきたゆるくてかわいくてたのしい美術を集め、決して上手いとは言えないけれど、素朴さにどこか味わいがあり、思わず愛してしまう日本美術界のゆるキャラ達が一堂に会しています。

 

会場に入ると真っ先に出迎えてくれるのは、日本人なら誰もが知る埴輪。ゆるさの原点は古墳時代まで遡るのです。捕らえられたイノシシはなかなかリアルなのに、人体の表現は稚拙なところがなんとも日本らしく面白い。

 

ゆるい日本美術の不思議なところは、決して上手くはないはずなのに、作者の絶対的な自信が伝わってくるところです。

上手い下手は関係ない、画業が本業じゃなくなって、自分の描きたいものを描けるように描く!恐ろしい地獄や妖怪、物語の重要な場面だって、彼らの手にかかればゆるゆる愉快になってしまうのです。

まさか現代になって、自分の作品が立派な美術館でガラスケースに入れられ、芸術として鑑賞されているとは思いもしなかったでしょう。

 

素朴なゆるい絵画の作者の作者は、画業を本業としない無名の人物も多いですが、教科書に載っているような有名画家も、ゆるい芸術を生み出しています。

 

私の好きな琳派も、ゆるさを持った芸術です。

京博の公式キャラクター「トラりん」の元ネタとなった尾形光琳の《竹虎図》。

(参照:https://www.kyohaku.go.jp/jp/torarin/profile/index.html)

光琳の弟乾山の絵画作品には、絵本のような親しみやすさと可愛さ、ゆるさがあります。

大阪で活動した中村芳中、今回の出展はありませんでしたが、近現代の琳派絵師神坂雪佳も、ゆる〜い作風が特徴です。

 

そして最後の部屋で待ち受ける衝撃のゆるさ。今回の目玉作品はこれと言っていいかもしれない。

南天棒《雲水托鉢図》

…の、クリアファイルとマステを思わず買ってしまったのでこちらをご覧下さい。

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笠を被ったマスコットのような雲水さん達がぞろぞろぞろ…

何か深〜いことを考えているような、何も考えていないような、今夜のご飯のことでも考えているのか、ふかふかのお布団のことを考えているのか。

「…………………………。」

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日本人のゆるさを愛する心よ、永遠であれ。