《十二か月推事記》

フジコです。推しのことについて。

遊びの流儀-遊楽図の系譜-

浮世の憂さの晴らし方。

 

フジコです。

7月とは思えない涼しさで、天気も悪い日が続きますが、そんな時こそ美術館。

 

久々の三連休ど真ん中に行ったのはこちら↓

 

 

東京・六本木  サントリー美術館

「遊びの流儀-遊楽図の系譜-」

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すでに今年に入って4回目となるサントリー美術館。今回のテーマは「遊び」です。

 

遊ぶことは明るく楽しく健康的に生きていく上で必要不可欠なものです。

数百年以上も前の日本では、どのような遊びを楽しんでいたのか、遊びにはどのような意義があったのか。「遊び」がテーマとなった江戸時代の作品を中心に、その流儀に迫っていきます。

 

ここでいう「遊び」とは非常に幅広いもので、囲碁や将棋、かるた等今でも馴染みあるものの他に、組香や貝合わせといった古典的なもの、祭りや年中行事での踊りなんかも含まれます。

 

月ごとの行事を楽しむ人々が描かれた「十二ヶ月風俗図」は金雲の隙間から人々の遊びを覗く天人のような気分を気分を味わえます。

日本画において金雲は無敵ともいえるもので、とりあえず金雲撒き散らしとけばめでたい感じに見えるし、金雲で区切っとけば実際の距離感を無視してすぐ隣に別の場面や場所を描ける。限られた空間により多くの場面を描くための、日本人の知恵とも言えるでしょう。

 

そして、風俗画・遊楽図に描かれた人々は、みんな結構だらしない。きちんと正座してお行儀良く座っている人はほとんどいないのです。

脚を投げ出したり横座りしたり、休日のお父さんのように寝そべっている女性もごろごろいます。

遊ぶときには、普段のきちんと頑張っている自分は捨てて、心もからだも自由にすること。絵の中の人々が、遊びの極意を体現しているように見えます。

 

屏風や絵巻などだけではなく、双六やかるたと言った遊びのアイテムも展示されています。

「かるた」というと、最もポピュラーなのは「いろはかるた」ですが、江戸時代には職人かるた、士農工商かるた、宮廷調度かるたといった世の中の文化や仕組みを学べる知育的な側面の強いかるたが多く作られています。

中でも印象的だったのが、「大名かるた」。江戸時代には大名の中でも格付けがあり、親藩・譜代・外様に分けられ、さらに石高によっても大きく差があったでしょう。

大名に義務付けられた参勤交代、向かいから自分より偉い大名の行列が来たら、道を譲らなければなりません。見ただけでどこの大名か判断できなければ、間違った対応をしてしまうかもしれません。そこで、大名の家紋や持ち物の特徴を、かるたで覚えようというのです。

 

生活や人生ことを、遊びで楽しく覚える。学ぶことは変われど、学ぶために必要なことは、今も昔も変わらないのかもしれません。