《十二か月推事記》

フジコです。推しのことについて。

奇想の系譜展ー江戸絵画ミラクルワールドー

江戸のアヴァンギャルド 一挙集結!

 

 

フジコです。

今回はちょっと久しぶりな美術館に行ってきました↓

 

 

東京・上野  東京都美術館

「奇想の系譜展 ー江戸絵画ミラクルワールドー」

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東京都美術館は、上野動物園のすぐ隣にあり、日本、西洋にこだわらず幅広い展示を行っています。イメージでは、日本では江戸、西洋では印象派が多いかな…?

 

「奇想の系譜展」と名付けられた今回の展示ですが、日本美術史家 辻惟雄氏による『奇想の系譜』で取り上げられた6名

伊藤若冲  曾我蕭白  長沢蘆雪

狩野山雪  岩佐又兵衛  歌川国芳

ここに新たに2名

白隠慧鶴  鈴木其一

を加え、江戸のアヴァンギャルドとも呼ぶべき彼らの型にはまらない作品をどどんと集結させて紹介しています。

一目で強烈な印象を残すこの6名の作品が一箇所で見られる機会は、なかなか無いでしょうね。

 

展示会場に入って一番手に紹介されるのは若冲なのですが、東京都美術館若冲といえば、数年前に代表作《動植綵絵》を一挙公開した「若冲展」。もともとの若冲ブームに乗っかり宣伝に宣伝を重ねた結果客が殺到、なんと4時間待ちを記録しました。平日に行っても数時間待ちは変わらず、親が購入した前売り券を持っていたものの、断念しました。せめて前売り買った人は優先入場とかできればよかったのに…

 

そんなわけで今回の「奇想の系譜展」の混雑を恐れていたのですが、まだ始まって1週間ということもあり、そこまでの混雑ではありませんでした👍

 

さて、まずは感じたことを率直に述べると、

 

おそらくこれは、音声ガイドを聞くべきだったのだ。

 

最近は何も耳に入れず一人で考えながら見るのが好きなので、音声ガイドを借りることはほとんどないのですが、この展覧会、とにかくパネルの解説が少ない。

音声ガイドの番号が振ってあるところは、ああこれはガイド聞けば詳しい解説が聞けるんだろうなと思いますが、解説が欲しい作品に限ってパネル解説も音声ガイドもない。特に緻密に様々なものが描かれている屏風絵は(岩佐又兵衛のとか)解説がないとわからないし、せめて重要文化財のやつは解説が欲しかった。これはなぜ重要文化財なのか?この作品のどこが「奇想」なのか?

どうやら図録には全ての作品にかなり詳しい解説が載っているらしいのですが、作品見ただけで簡単に図録に手を出せる人ばかりではないだろうし、もう少しパネルの解説があっても良かったんじゃないかなと思いました。

 

あと、作品情報のパネルに制作年代や収蔵が書かれていないものが多いのも気になりました。

個人蔵なら個人蔵って書いてあるところが多いので、ちょっと不思議な感じです。

絵師一人一人の解説は簡潔にまとまっていて良かったと思います。

 

今回私が楽しみにしていたのは、私の最推し酒井抱一の一番弟子 鈴木其一。彼は師の存命中は忠実に師の画風を受け継いでいたものの、師亡き後に個性が爆発。たらし込みなどの技法は受け継ぎながらも、彼なりの「奇想」に辿り着きます。

見えるものの一瞬を自然な姿で描いた抱一の花鳥画と異なり、人為的な配置とデザイン性溢れる構図の其一の花鳥画は、其一の時代からおよそ2世紀も前に遡る俵屋宗達あるいは「伊年」印を用いた絵師たちの作風に、謂わば原点回帰したとも感じられます。

 

根津美術館所蔵の其一代表作《夏秋渓流図屏風》に改めてお目にかかれて、もちろんこちらも良かったのですが、個人的に一番見られて嬉しかったものは《柳に白鷺図屏風》。図録なんかを見ると其一の作品として紹介されることは多いのですが、所蔵が米国ということもあり、実物を見たことはありませんでした。

柳を背に飛び立つ鷺は、あまりに人為的且つ不自然な配置で、躍動感は全く感じられません。それでもデザインとしてしっかりと完成していて、これこそが今回の展覧会で其一が取り上げられた理由ではないかと解釈しています。

 

全体的に、「江戸のアヴァンギャルドな奴等を紹介するぜ!細けえことは後だ!」みたいな展示構成の展覧会でしたが、個人的にはもっと物語性のある展示が好きかなーと思いました。行く人は音声ガイド借りなね。