《十二か月推事記》

フジコです。推しのことについて。

金屏風展-狩野派・長谷川派・琳派など-

これぞ黄金の国・日本

 

フジコです。

転職活動を始めました。いや本格的に始めるのはもうちょい先ですが。

 

せっかくの三連休なので足を伸ばしてこちら↓

 

 

神奈川・箱根  岡田美術館

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このためだけに、ここに来る。

某新幹線変形ロボのオタクになってから新幹線代が高いと感じなくなったので、これからは新幹線で来ることにしました。

速くて快適。東京から小田原まで30分。むしろ小田原から岡田美術館までの方が時間かかる。

 

所蔵品の中から展覧会のテーマに沿った作品を1フロアに集めて展示するスタイルの岡田美術館。今回のテーマは金屏風です。

屏風自体は中国で発祥して日本にもたらされたものですが、黄金で装飾した「金屏風」は日本ならではの美術品として、アジアやヨーロッパの国王に贈られ、たいへんに喜ばれていたそうです。

3階が企画展フロアになっていて、1,2階は前回も見たからさらっと流し見でいいかなーなんて思っていたものの、展示作品や配置が若干変わっていたりして、なんだかんだで常設展だけで2時間以上はかけていました。

 

3階展示室の扉が開いた瞬間はまさに圧巻。

真っ黒な部屋一面に眩い黄金の輝きが広がって、まるで展示室自体が金屏風の中の世界のようでした。岡田美術館ほど金屏風が映える美術館はないでしょう。

もちろん電気はない時代、今よりうんと暗かったであろう室内で、蝋燭や月明かりを反射する金屏風は、第二の照明としての役割も果たしていたようです。

 

目の前では初っ端から狩野派と長谷川派がガチバトルを繰り広げていました。

狩野派は豪壮でありながら、流派としての決まり事はきちんと守られていて、代々血族で受け継がれてきた伝統的な表現が見られます。

(狩野派の屏風はほぼ必ずと言っていいほど右隻と左隻に大木が一本ずつ、鳥は必ず番で描かれています。例外があったら教えてください…)

長谷川派は少ないモチーフを空間を活かして配置した瀟洒な作風でありながら、常識にとらわれない斬新な表現で金屏風特有の豪華さを醸し出しています。

 

琳派にも、金屏風の作品は多数存在します。もっとも有名なところは、俵屋宗達の《風神雷神図屏風》、尾形光琳の《燕子花図屏風》《紅白梅図屏風》などですが、今回はちょっとマイナー寄り。

推しの金屏風もなんと一点だけありました。抱一の金屏風は何点かありますが、図録とかでも見たことない作品だったので新鮮でした。(どうしても銀や素地のイメージが強い推し)

一番興味深いのは、池田孤邨の《燕子花・八橋図屏風》。作品名から分かる通り、尾形光琳の《燕子花図屏風》から着想を得たものです。右隻は金地に燕子花、左隻は銀の八橋が描かれておりますが、元々はこれらが一枚の裏表に描かれていたそうです。

金と銀が裏表に存在している屏風と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、尾形光琳風神雷神図屏風》と酒井抱一《夏秋草図屏風》。抱一の高弟で、推しの画風をよく倣った孤邨がこの作品を描いたのは、光琳の金地の裏に銀世界を描いた抱一へのリスペクト、オマージュといったものではな位でしょうか。

孤邨の作品には突出した特徴がなかなか見られないのであまり取り上げられることがありませんが、彼が推しの何に惹かれたか、研究してみると面白いかもしれませんね。

 

今回は新幹線で来たし余裕を持って出たはずなのに、あと3部屋ぐらい残したところで閉館まで30分アナウンスが流れたりして、いや美術品の前では時間計画なんて無になるなと実感。

 

次回の展示は土器らしくて、また足を運ぶことになりそう。

 

《武蔵野図屏風》の作者が判明する日はいつかくるのかしら…?