《十二か月推事記》

フジコです。推しのことについて。

河鍋暁斎 その手に描けぬものなし

こんにちは。フジコです。

早くも2月になりましたね。

 

2月3月にかけて行きたい展示が目白押しなのですが、まずはこちらから↓

 

 

東京・六本木  サントリー美術館

河鍋暁斎 その手に描けぬものなし」

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今年に入ってからサントリー美術館は既に2回目です。前回は「扇の国、日本」でした。

 

河鍋暁斎の特別展といえば、2017年に渋谷の文化村ミュージアムで開催された「これぞ暁斎!」

https://www.instagram.com/p/BR2Yg9chEvr/?utm_source=ig_share_sheet&igshid=11x2r9tyqbk1p

こちらの展示は、「これぞ暁斎!」のタイトルのとおり、圧倒的な作品数と展示構成で暁斎の個性を前面に押し出し、他の追随を許さない暁斎の"個"を紹介する展覧会でした。

 

一方、今回のサントリー美術館河鍋暁斎 その手に描けぬものなし」では、個性を表しながらも、伝統的な表現や学習方法を決して捨てることのなかった、"狩野派絵師としての暁斎"にスポットを当てています。

どんなに頭一つ抜けた個性をもつ作品を生み出す人でも、その基盤には人生の中で触れてきた過去の作品や人の影響があり、全く0からのオリジナルなど存在しないということですね。(同じようなことを米○玄○さんも言ってた)

 

展示冒頭に掲示された系譜は、狩野孝信に始まり、狩野探幽をはじめとする孝信の息子たちから血族、あるいは師弟関係を経て、複数の狩野派絵師に師事していた河鍋暁斎にたどり着きます。

さらに暁斎から門人の線が伸びているのは、イギリスのお雇い外国人で、建築家のジョサイア・コンドル鹿鳴館を設計したことで有名で、東京駅の辰野金吾、迎賓館の片山東熊といった日本の名だたる建築家を育てた彼は、日本文化に強い関心を持ち、暁斎に弟子入りしています。

狂斎を語るには必要不可欠なジョサイア・コンドルの存在を、冒頭部分ではっきりと示したことに感心してしまいました。

 

さて、暁斎の作品といえば特徴的なモチーフがいくつかあって、私が思い浮かぶのは、地獄太夫・烏・蛙です。

 

一休宗純とのエピソードが有名な地獄太夫は度々暁斎が描いており、美しさと着物に描かれた地獄のおどろおどろしい様相が対比されています。醜と美、善と悪といった表裏一体を見事に表すのは、暁斎作品の最大の特徴ともいえます。

 

暁斎は烏を何度も何度も描いており、墨一色で表現された羽の立体感や感触が、暁斎の技能の高さを物語ります。今回の展示では1枚だけでしたが、文化村ミュージアムの展示では一区画に烏の絵がずらっと並べられていたのが印象的でした。

 

暁斎の蛙はとにかく生き生きとしていて、今にもケロケロとおしゃべりを始めそうな愛らしい姿が特徴的です。

こちらはフォトスポットの、蓮でできた人力車ならぬ蛙力車に乗る蛙と、郵便配達員の働く蛙↓

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蛙好きの私は、暁斎の蛙絵を見ていると幸せな気持ちになります。

鳥獣戯画の時代からそうですが、蛙をここまで愛らしく描けるのは日本人だけなのではないかと勝手に思っています。

 

最近暁斎関連で話題になっているのは、ちさかあやさんによる漫画「狂斎」。

https://note.mu/mangahack/m/mcb0b7912502c

壱話を読んでみましたが、今すぐにでも続きが読みたくなるような引き込まれる導入でした。あと蛙がかわいい。

1巻が単行本化しているようですが、未だに書店で見つけられず購入に至っていません。

これから歴史上のアーティスト、クリエイターが取り上げられる作品か増えていくといいですね。読まねば。