《十二か月推事記》

フジコです。推しのことについて。

扇の国、日本

せんすが いいね。

 

 

昨日ぶりです。フジコです。

2019年の美術館初め、即ち「推し初め」をしてきました。

初詣よりも書き初めよりも先に、推し初めをしてしまいました。

 

2019年推し初め展覧会はこちら↓

 

東京・六本木  サントリー美術館

「扇の国、日本」

"In the Country of Fans,Japan"

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サントリー美術館は、日本美術に特化した、常設展のない私立美術館です。

東京ミッドタウンの中にあるので、お正月も2日から開館しています。

展示の見易さ、解説の分かり易さ、展覧会で取り上げる題材のセンスの良さ。私が一番好きな美術館です。

 

今回の展覧会では、日本人に馴染みのある扇にスポットを当て、扇に絵を描いた扇面図、扇形自体をデザインとして用いた屏風や鏡、当時の扇の流通を裏付ける史料等を紹介し、まるで翻る扇のように、扇を様々な面から見つめています。

 

日本の芸術の中には中国に起源を持つものが多くありますが、扇(おうぎ)は日本独自のものだそうです。中国には先に団扇(うちわ)が存在していましたが、折り畳める扇は日本で発祥したものでした。

 

扇に限らず、日本の美術品にはコンパクトになるものが多く存在します。屏風絵、襖絵、絵巻物…これらは中国の方が古くからありそうですが、ひょっとしたら日本人はコンパクトになる美術品が好きなのかもしれません。

西洋美術でよく見る大聖堂の壁画やステンドグラスとは、全く性格の異なる芸術のかたちですね。

 

扇には、風を起こして涼をとる以外に、儀礼や祭祀の場に使われたり、とある伝説から人と人とを結びつける力があるとして相手に渡したり、かと思えばメモ帳のように使ったり、実に様々な使われ方がされていたようです。

室町時代にはすでに扇の形そのものがデザイン化して、扇の紙を貼って散りばめた屏風や、調度品の図柄として描かれていたりします。

曲線と直線を併せ持つ扇の形を散りばめるだけで、画面全体が自然とリズミカルになるから不思議です。

 

扇に描かなかった絵師は存在しないといっても過言ではありません。特に江戸時代には貴賎問わず扇が流通し、実に多くの絵師が扇に絵を書いています。展示後半は怒涛の江戸ラッシュ。尾形光琳池大雅与謝蕪村葛飾北斎河鍋暁斎…もちろん、私の最推し酒井抱一の作品もございました。

会期の前半と後半で半数近くが展示替えされており(これは日本美術によくあることですが)、抱一の作品も、前半一点、後半二点の計三点が出展されています。

 

以下、最推しの作品を見た感想です。

 

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せっかくのブログだというのに、尊すぎて言葉が出ません。

推しはすごい。すごいんだ。

推し補正がかかってるから特別すごく見えるだけなんじゃないのかと言われたら反論はできませんが、それでも推しはすごいんだ。

 

推しが扇面に描いた銀の月を、是非その目で見てほしい。こればっかりは言葉にすると陳腐になってしまう。えー月って金色じゃないの?と思う人もいるでしょう。でも、秋の夜空、薄雲に覆われた月は本当に銀色に見えるんです。去年の秋、初めて月が銀色に見えたとき、抱一もこんな空を見ていたに違いないと一人尊さに涙を流しそうになっていました。

 

😭😭😭

 

展覧会の締めくくり、日本を訪れたドイツ人医師シーボルトが日本について著した『NIPPON』。この中で彼は、長崎の出島が扇の形をしていること、扇が男女貴賎問わないマルチなアイテムであることを述べています。ヨーロッパと日本を結ぶ土地である出島が、日本独自の文化を凝縮した扇の形をしていたことは、海外の人々が日本イメージを形成する上で実に象徴的で、扇=日本というイメージが抱かれることと結びついた。ここはまさに、「扇の国、日本」だったのである。

 

ずるい!こんなセンスのある締めくくりはずるい!!!!

せんすが!!いいね!!!!

 

図録買いました!!!!

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さーて上野に移動するぞー