《十二か月推事記》

フジコです。推しのことについて。

我儘

12月の頭頃、推し上司と外出する予定があったある日、

「早く終わって時間あったらさ、ユニクロ行っていい?」

ユニクロユニクロってあのユニクロ

どうやら、業務で外に出た時用のコートが欲しいらしい。不動産の現地調査で時には草が生い茂る土地に踏み入れなければいけないこともあるので、汚れることもあるし、素材によっては草や種まみれになってしまうのです。もちろん動きやすい形がいい。

この人、業務中に服を買う気満々である。

ということはつまり、好きな人の服を一緒に選べるってこと?デートでもないのに、仕事中なのに、こんなチャンスが来てしまうとは。

返事はもちろん、

行きましょう!!

 

早く終われ早く終われと念じる必要もなく、本題の用事はあっという間に済んだので予定通りユニクロへ。

 

「(車)乗ってる?」

降ります!ユニクロ見てるの楽しいので!(即答)

↑これは当然建前で、本音はもちろん、『一緒に選びたいので!』

車の中で大人しく待っていられるもんですか。

 

もう何度も何度もユニクロには来ているのに、今まで来た中でおそらく一番ウキウキしていたでしょう。

当然普段メンズコーナーなんてしっかり見ないどころか、父親以外の男性とまじめに服を見に来たことすらないのです。こんなの、恋愛経験豊富な女の子たちは慣れっこなんでしょうけど。

秋頃、後輩ちゃんが服を買うのに私が付き合ったことを知っているので、「コーディネーター」なんて呼ぶもんですから、張り切っちゃうじゃございませんか。

 

形と色はすんなり決まったので、後はサイズ。

「LとXLどっちがいいかな」

Lでいいんじゃないですか?(身長175cmだとメンズでもLサイズになるんだ…)

「後ろ見えてるの変じゃない?」

変じゃないです。XLだと着膨れて見えるので、Lがいいと思いますよ。

 

ルフレジで会計した後、後ろの棚にコートを広げたと思ったら、ファスナーをきっちり閉め、丁寧に左右の袖を折り込み始めました。その様子をまじまじと見ていたら、推し上司が顔を上げて、

「A型なので(キリッ)」

そして見事な等分で折りたたみ、然るべき大きさの紙袋を選んで詰めたのでした。

いやすぐそこに車あるんだし、私だったら袋に入れるどころかたたみすらせず、そのまま手で引っ掴んで持っていくのにな。O型なので。

 

これから冬の間は、私が一緒に選んだコートを着て出勤してくれるのね!

 

と思っていたのですが、それから何日か経ってもなかなかそのコートを着て来ないのです。

 

あのコート着ないんですか?と訊いたら、

「まだ出番じゃない」

なるほど、あったかいからもっと冬本番になってから着るわけだ。年明けからかな。

 

ところが、年が明けてもまだ着て来ない。あれ着て現地調査行くんじゃないのかね。

まだ出番じゃないんですか?とさらっと訊いてみたら、

「あれ…思ったより下から風が入ってくる」

あらら。まあ確かに、お外で実際に着てみないとわからないことってあるよね。

 

「でも休みの日は着てる。嫁迎えに行く時とか。」

 

そうなんですね。買った時に想定してた場面と実際に着る場面が変わることはよくありますものね。

でも、こんなのはどうしようもない我儘だとわかっているけれど、私が一緒に選んだ服を、願わくば、私の目の前で着ていてほしかったのです。

 

P.S.やっと勤怠の打刻システムが導入された弊社、真面目な推し上司が部下達に打刻を習慣づけるべく朝一で発するありがたーいお言葉

「はいみんなダコってー」